九州・沖縄発 一流のオトナを諦めないあなたに贈るフリーマガジン変革をあきらめないオトナたちへ BOND

九州・沖縄発 一流のオトナを諦めないあなたに贈るフリーマガジン変革をあきらめないオトナたちへ BOND

[BOND GIRL] 最後に残るは、ピュアな自分。 BOND GIRL

bondgirl8

BOND GIRL by 貝原 亜弥

映画宣伝の世界は、戦略と駆け引きがものを言う。39歳にしてメジャー配給会社の「パブリシスト」と言われる僕は、この夏公開の担当作品を、どう話題にするか?を考えながら、全国の主要都市をクルーズしていた。しかし画期的なアイディアを探しながらも、行く先々で夜の街に沈むのが常だった。忙しすぎてまともに彼女なんて作れない反動で、出張先で夜の女性達を正に戦略と駆け引きで、口説くのが唯一の楽しみだった。そんな荒みきったある日、福岡・博多に滞在することになった。もちろん、博多は初めてではない。

その夜も、博多のローカルスタッフのタツヤが待ち合わせ場所にやってきた。「コスギちゃん!おつかれっす!」こいつの才能とも言えるノリの軽さは芸術的だ。いつものようにメシ食って、キャバクラコースかと思っていると、タツヤが意外な事を口にした。「熟女専門って噂もあるコスギちゃんには悪いけど(笑)、今日は、博多の地元の若い女の子と飲みますか!」その熟専っていう情報の入手先が気になりながらも、おとなしくタツヤについて行く事にした。完璧な水炊きを御馳走になったあと連れられて行ったのは「オリエンタルラウンジJIS」という店だった。

6階でエレベーターを降りると、その規模のデカさとゴージャス感に驚いた。「タ、タツヤ!ここで合コン?」そう聞くと「合コンじゃないです。ここで、出会うんですよ!」と返された。よく分からず二人でボックス席に座り、ビールを飲んでいると、スタッフが2人の普通の女性を連れてきた。「同席お願いしま~す!」これはなんだ!?大丈夫なのか?明らかに動揺している僕を見て「コスギちゃん!考えすぎ!普通に相席で飲むって感じっすよ!」隣に座って来た地味なワンピースを着たアヤちゃんは、福岡市内の病院に勤める看護士さんだった。同僚と気軽に飲みに来たという。「東京から来たと~?」東京の男性の97%がメロメロになるという博多弁をモロにあびて、一気に癒されていると「コスギさんみたいな業界の人って、もっと華やかな感じでいつも飲んでるんでしょ?なんか申し訳なか~」と、少し寂しげに聞いてきた。アヤちゃんは、看護士という仕事柄ネイルもしておらず、比較的薄い化粧だ。しかしよく見ると目鼻立ちのはっきりした博多美人。仕事をがんばってて、普通の会話も気遣いがあって、よく笑う。こんなに駆け引きなしで、女の子と会話したのは久しぶりだった。そんなアヤちゃんを前にして、自分が探し求めていたものはこれだ!と思った。明日早番だから、そろそろ帰らなきゃという彼女達が言った時、僕は不意にこう言った。「アヤちゃん、また会ってくれる?」嬉しそうにうなづいてLINEのIDを教えようとする彼女の笑顔を見ながら、そこには戦略も駆け引きも全くない、純粋な自分がいることに気付いた。今度の映画は福岡が重点都市になりそうだ・・・。

BOND OFFICIAL
BOND OFFICIAL

記事一覧

BOND GIRL