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[BOND GIRL] 遅い朝食 BOND GIRL

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BOND GIRL by 今田 美桜

「イソノ先輩、大丈夫です!私がついてますから(笑)」

今、僕の目の前でニコニコ笑っている「イマダ ミオ」は21歳のアシスタント社員だ。確か、まだ3週間程前に入社してきたばかりだ。ちょうどその頃、僕は、あるプロジェクトのまっただ中で、存在は知っていたが、意識する暇も無く、必要最低限度の言葉しか、かわしていなかったことに気付いた。

昨日の金曜日の夕方。僕は不意に上司に呼ばれ、今回進んでいた案件が突然、御破算になったことを聞かされた。「お前、何年このクライアントの担当やってんだよぉ~ぅ!お前がもっと情報精査してれば、こんな結果にならなかったんじゃないのかよぉ~ぅ!」この妙に語尾が長い上司の言った言葉が、理不尽過ぎて我慢できなくなった僕は、「テメェが持って来た情報で、テメェが判断したんだろうがよ!!」と叫ぶや否や、0.1秒で上司の背後に周り、チキンウイングフェースロックを極めて、腕と顔面をグイグイ締め上げながら、詫びの言葉を何度も吐かせた!……というのは嘘で、平身低頭、何度も「申し訳ありません」と謝罪したのだった。上司も、クライアントの担当も、成功すれば問題ないが、失敗すると他に責任の所在を見つけようと必死になる。会社員やってれば、仕方ないとはいえ、やはりこういうパターンは凹むのだった。

散々、イヤミを言われて席に戻ったころには、もうほとんどの社員は席にいなかった。「金曜の夜だもんな~。」最悪な気分で週末を迎える覚悟を決めて、帰宅前にメールを開いた。すると「アシスタント:イマダミオ」からメールが来ていた。珍しいことではない。彼女は、報告事項などを定期的にメールで送ってくるからだ。しかし、今回のメールは少し違った。「イソノ先輩。大丈夫ですか?愚痴を聞いてあげますので、明日、遅い朝食でもいかがですか?」味なマネをする……と思いながらも、僕は、何か不思議な感覚に包まれながら、素直に誘いに応じたのだった。

彼女が指定してきた、パルコの新館地下に登場した「Soup Stock Tokyo」に、朝の10:30に行くと、彼女はブルーのセーターで待っていた。「さあ、愚痴を聞きますよっ!」 「一回り歳が違う娘に、愚痴なんか言えるかよ。」 「じゃぁ、何で来たんだよぉ~ぅ?」 「語尾が長ぇよ(笑)」 吸い込まれそうな瞳で、彼女は愛くるしく笑いながら話をした。ひとしきり話しながら、完全に自分の気持ちが切り替わっていることに戸惑っていると、不意に彼女が、あらたまって言った。「イソノ先輩は、大丈夫です。それに、私も、素敵なパートナーになれるように頑張りますから。あ!仕事の……ですよ!」

彼女の、その完璧な微笑みを見続けていると変になりそうで、照れ隠しに手元のスープを口に運んだ。濃厚な「東京ボルシチ」の熱は心地よく僕の唇を、刺激した。

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