九州・沖縄発 一流のオトナを諦めないあなたに贈るフリーマガジン変革をあきらめないオトナたちへ BOND

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[BOND GIRL] 特別席 BOND GIRL

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BOND GIRL by ナオ

「みんな、今期も、ホントよく頑張ってくれてありがとう!とりあえず乾杯!」

我らが営業第3部、野中部長の若さと喜びに溢れた声が室内に響いた。我が部署は年間目標利益を3年連続突破。今夜は「祝賀会」的な飲み会だった。新しモノ好きの野中部長が今回準備したのは、「ヤフオクドーム」の特別観覧席が全面改装された「HAWKS Premium Suite」。そこで野球観戦しながらの宴会となった。

僕はこの部署に配属されてきたばかりの「若手」で、まだまだ下っ端だ。個性的なメンバーが揃ったこの部署は、僕にとって刺激的なことばかりだった。そんな中、10日ほど前に東京から出向でやってきたのが、マーケティング担当の「なお先輩」だった。完璧な「素敵なお姉さん」タイプで、タイトなスーツを華麗に着こなし、クライアントのおじさんが放つセクハラまがいの挨拶にも神対応。そして、本業のマーケティングの見識には、チームのだれもが一目おいていた。

試合も終盤。ホークス逆転のチャンスに沸くスタンドに誘われる様に、先輩達はみなテラスへと出ていった。僕は、何となくタイミングを逸してソファにぼんやり座っていると、えも言われぬ爽やかで、甘い香りが不意に拡がった。視線を上げると「なお先輩」が、目の前に座っていた。

「フジタくんって、この仕事好き?」

「え?あ、はい!仕事っていうか、このチームが好きです!」

彼女は、長く持て余すような脚をゆっくり組んで、微笑みながら頬杖をついた。僕は、彼女のどこに視線を合わせていいかわからず、髪や膝や肩や右手の薬指の指輪などに、視線が飛びまくっているのが自覚できた。

「フジタくん、どうしたの? 別にお説教するつもりはないんだけどな~」

い、いかん。完全に僕の動揺が見透かされている!僕はこの事態を打開すべく、急いで、質問を頭に探した。

「な、なお先輩って、ど、ど、独身ですか?」俺は何を言ってるんだ?

「フジタくん……。クライアントへのヒアリング力は、まだまだみたいね。」

完璧な微笑みを浮かべつつ、僕から視線を外さない彼女の前から、一刻も早く逃げ出したくなったが、同時に永遠にこの時間が続いて欲しいとも思った。

その時、野中部長がテラスから顔を出した。

「おい、なお! ホークス、本気で逆転するぜ!こっちこいよ!」

「フフフ……」

なお先輩は、軽いウインク(されたような気がした)を残して、これまた完璧な後ろ姿でテラスへと消えた。爽やかで甘い香りは、まだそこに漂っていた。

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