九州・沖縄発 一流のオトナを諦めないあなたに贈るフリーマガジン変革をあきらめないオトナたちへ BOND

九州・沖縄発 一流のオトナを諦めないあなたに贈るフリーマガジン変革をあきらめないオトナたちへ BOND

髙田延彦 インタビュー INTERVIEW

タグ: /

自分の“弱さ”を知っていること
それが一番の“強さ”
元総合格闘家・RIZIN統括本部長 / 髙田延彦

1980年に新日本プロレスに入団、1991年にUWFインターナショナル設立など、1980~90年代の日本のプロレス界を支えてきた髙田延彦氏。

ファンなら周知の経歴だが、プロレスに詳しくない人たちにとって、髙田延彦氏は総合格闘家としてのイメージが強いと思う。

それは、今から約20年前、1997年10月11日に行われた『PRIDE.1』のメインイベント、髙田延彦VSヒクソン・グレイシーの圧倒的な話題性なくしては語れない。

結果は1R4分47秒、腕ひしぎ十字固めによる髙田延彦氏のKO負け。

当時、日本のプロレス界のエースクラスのレスラーの惨敗に、世間やマスコミから投げつけられたのは「A級戦犯」「弱い」といった猛バッシングだった。

ただ、当時400戦無敗を掲げていたヒクソン・グレイシーのマッチメイクとはいえ、対戦相手が髙田延彦氏じゃなければ東京ドームという大舞台において、入場者数4万7000人を第1回大会から記録することはなかっただろう。

もちろん、この試合が30回以上にわたり行われた『PRIDE.』の成功のきっかけになったのは言うに及ばない。

格闘技ファンはもちろん、一般の人々にも格闘技の魅力を広めた歴史的な総合格闘技イベント。

その後もホイス・グレイシー、ミルコ・クロコップ、マイク・ベルナルドなどを相手に『PRIDE.』で数々の好カードを実現した髙田延彦氏。

2002年11月の試合を機に格闘家を引退し、『PRIDE.』の統括本部長に就任。

「男の中の男たち、出てこいやーっ!」といった名フレーズを連発するなど、持ち前のタレント性も輝きを放つ。

平成の日本における格闘技の伝道師・髙田延彦。

現在、『髙田道場』と銘打ち、子どもたちの育成にも携わる気鋭の教育者・髙田延彦。

さまざまな顔を持ち合わせる同氏が現役時代、どんな思いで格闘技と向き合い、引退後、格闘技にどんな期待を寄せているのか、RIZIN統括本部長として来福した同氏に話を聞いてみた。

観客が熱くなれる“作品”を
作り上げるのが真の格闘家

—早速ですが、私自身、1980〜90年代のプロレスがドンズバの世代で、IWGPジュニアヘビー級のベルトをかけた越中詩郎さんとの一戦は、とても印象に残っています!

髙田延彦(以下、髙田) おー!あの時代を見てくれていたんですね。ありがとうございます。
あの時期は僕の格闘家人生のなかでも一番楽しい時代でね。
越中はやればやるほど喰らいついてくる。言葉は悪いけど、本当に気持ち悪いくらい。
あのときの越中は生半可な根性じゃなかったですね。
闘っていて、溶け合う感じっていうのかな。
認めつつも、やっぱり認めたくない、みたいな。
いろいろな感情が湧き出てきた印象深い試合ですね。
そのおかげでお客さんにも響く、あの“作品”ができあがったわけですが。

—プロレス時代の作品とは試合のことですか?

髙田 そう。僕らは闘って、お客さんをヒートアップさせてなんぼですから。
アーティストではないけど、お客さん全員を熱狂させることができたときにだけ、“作品”と称して良いと思うんです。

—“作品”と呼べる試合は毎回できるものでしょうか?

髙田 そうあるものではないですね。
感情的には“溶け合う”が一番合うのかな。
お互いに認め合うことが“溶け合う”感覚につながる。
それはなかなか生まれません。

—今、髙田さんは『RIZIN』の統括本部長を務められていると思いますが、『RIZIN』の試合も、そんな経験から見ていますか?

髙田 もちろん。ファイター全員、ガチで試合しているんだけど、相性があって、噛み合う・噛み合わないはあるもの。
噛み合わないからダメとかじゃないんだけど、やっぱり噛み合ったときのお客さんの反応は違う。
『RIZIN』で最近、噛み合ったと感じた試合を一つ挙げると2016年大晦日の所英男VS山本アーセンの一戦ですね。
山本アーセンの良いパンチが入って、倒れた所英男だったけど、無意識に前蹴りを入れて、グラウンドで腕十字固めを決めてノックアウト。試合時間にして2分足らずでしたが、本当に濃密な試合だった。
総合格闘技は試合時間が長い、短いじゃないんです。一瞬たりとも目を離すことができない、それが重要。
格闘技をやっていない人をも魅了するのは、そんな試合だと思うんです。

—確かに、あの試合は衝撃的で、心の底から湧き上がる熱いものがありました。それぞれのファイターは勝負を決する瞬間、どんなことを考えているのでしょうか?

髙田 意識的に考えていることはほとんどないと思います。
あの試合の所英男の場合、練習や多くの試合を積み重ねてきたことで勝手に体が反応した感じ。
クロン・グレイシーVS川尻達也、RENAVS山本美憂の一戦もそう。
今までやってきたことを自分の人生をかけて、一秒一秒その闘いの中に投入していく。
見ている人たちに同じような気持ちにさせる。
それはプロフェッショナルと称されるファイター同士の闘いでしか生まれないと思っています。

怖さや不安は誰しもある
大切なのはでき得る限りの準備

—髙田さんは格闘家におけるプロフェッショナルの条件について、なにかご自身なりのお考えがありますか?

髙田 まず大前提として闘うことが好きじゃないといけない。
好きなことを続けていくために、次のオファーにつながるような良い試合をする。
その背景にあるのは、もっと目立ちたい、金を稼ぎたい、テレビに出たいといった欲望だと思うんです。
逆にそれらの欲望がなければプロフェッショナルとは呼べないのではないかと。
格闘技に魅了される理由の一つにそういうシンプルな欲があって然るべきだと思います。
あとは、やっぱり選手のキャラクターも大事。
ヴァンダレイ・シウバ、ミルコ・クロコップ、ヒクソン・グレイシー、桜庭和志、みんな強いのは当然なんだけど、キャラクターも濃いでしょ。
選手のパーソナリティ、キャラクターもエンターテイメントだから。
過剰に演出する必要はないけど、より自分の個性を出せるのもプロフェッショナルの条件の一つといえると思います。

—なるほど。ビジネスマンも個性のレベルは違いますが、取引先の記憶に残らないと仕事が成り立たないのと同じかもしれませんね。
髙田さんをはじめ格闘家はリング上で殴り合って、勝ち負けを決しますが、僕らはプレゼンテーションや成果で勝ち負けが決まります。試合前に意識していた心構えなどがあれば教えてください。

髙田 なんでもそうですが準備が大切。
試合が決まったときは恐怖心があるけど、例えば2ヶ月間、対戦相手をイメージしながら濃密な練習を積み重ねると、逆に「早く試合をやりたい。相手をぶっ倒してやりたい」っていう気持ちに変わってくるんです。
それはビジネスシーンでも同じだと思います。
徹底的に準備をして、当日を迎える。
完璧な状態だったら、相手が500人いようと怖さや不安はなくなるはずです。
ただ、自分ができる最高の準備をしてきて、負けることもあるのが勝負の世界。
でも、その人の能力が低い、弱いとか、人格を根本から否定するようなジャッジをするのは絶対に間違い。
積み重ねてきた準備に何かが足りなかった、じゃあ次は同じ轍を踏まなければいいんです。
僕は結果だけで、人を判断するのは違うと思う。
もちろん負けることは悔しいし、辛い。
僕自身、『PRIDE.1』のヒクソン・グレイシーとの試合後はきつかった。
日本中が見ている公開タイマンであんな負け方をしたわけですから。
「金返せ」「A級戦犯」「クソ弱い」、いろいろな罵声を浴びました。
町も歩きたくなかったぐらい追い詰められた。
このまま格闘技をやめようか、と思った時期もありましたね。
ただ、結果的には時間が解決してくれた。
だから、また次のステップに踏み出すことができたんです。

福岡の子どもたちの可能性
それをもっと伸ばしていきたい

—現在、RIZINの統括本部長、タレント業をはじめ、さまざまな活動に取り組まれていると思います。
その一つに子どもたちを育成する「髙田道場」の運営もありますが、なぜ道場を開設しようと思ったのでしょうか?
また、東京に続き、福岡に2つ目の道場を開かれた理由があれば教えてください。

髙田 自身の経験から、小学生のときに純粋無垢に遊ぶことこそが最初の社会勉強だと思うんです。
友達と遊ぶなかで独自のルールを決めて、守る。
それでも折り合いがつかずケンカすることもある。
人に暴力を振るうこと、いじめることは絶対ダメだと学んだり、それはもう、たくさんのことを学べる。
でも、現代社会ではそんな経験ができる場所が少ないでしょう。
目が届かない場所で遊ばせるのは危ないという、親御さんの考えももちろんわかります。
それだったら大人の目が届く範囲で、そんな経験ができる場所を作ってあげたい。
それが「髙田道場」を始めたきっかけですね。
もちろんレスリングがベースにある道場なんですが、別にエリートクラスのレスリング選手を育てたいわけじゃない。

福岡に道場を開いたのは、子どもたちの元気さが一番の理由です。
10回くらいレスリングに関するイベントをやってきましたが、礼儀正しくて、身体能力が高い子どもたちが多い。
そんな子どもたちが一度きりのレスリング体験だけに終わるのはもったいないな、と素直に思ったからですね。
この考えに共鳴してくれた「やずや」代表取締役社長の矢頭さんの存在が私の背中を押してくれました。

—福岡に元気な子どもが多いと言っていただけるのは大変うれしいです!
最後に、10月15日、福岡初開催で湧いた『RIZIN』の魅力を教えていただけますか?

髙田 堀口恭司、山本アーセン、那須川天心をはじめ、RENA、真珠・野沢オークライヤーなど、日本の格闘技界はたくさんのニューカマーが活躍しています。
彼ら、彼女らは圧倒的な強さはもちろん、パーソナリティも強烈です。
テレビ越しでも迫力はありますが、一度、生で見ていただきたい。
きっとリアルなファイトを見れば、もっと格闘技にハマるはずです。

髙田延彦はテレビで見るよりも“大きかった”。
スーツがはちきれんばかりに鍛えられた身体は現役を退いた人とは思えない厚みだ。
そんな髙田さんに、個人的に気になっていたことをこっそり尋ねてみた。

それは、「強さってなんですか?」。

すごく抽象的でアバウトな問いだけにオフィシャルのインタビュー中は控えていたが、青春時代に心酔していた髙田延彦を目の前に衝動的に出てしまった質問。

だが、髙田さんは即座に答えてくれた。

「自分の弱さを知っていること。それが一番の強さ」。

さらに「勉強、スポーツ、料理、アーティスト、どんな業界でも同じ。

“弱さ=できないこと”を克服するために、練習し、準備を重ねる。強くなるために」と続ける。

【INFOMATION】

RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2017 バンタム級トーナメント&女子スーパーアトム級トーナメント 1st ROUND -秋の陣-

[ 日時 ] 2017年10月15日(日) 12:30 開場 / 14:00 開始
[ 会場 ] マリンメッセ福岡
[ 主催 ] RIZIN FIGHTING FEDERATION
[ 共催 ] テレビ西日本
[ お問合せ先 ] RIZIN事務局 03-5772-3223

[ たかだ・のぶひこ ] 1962年4月12日、神奈川県横浜市生まれ。1980年に新日本プロレスに入門し、翌81年デビュー。その後、UWFインターナショナルなど数団体を経て、総合格闘技『PRIDE.』のリングへ。数々の名勝負を繰り広げたなかでも、1997年、98年の二度にわたるヒクソン・グレイシー戦は、格闘技界にとどまらず、一大ムーブメントを起こすほど大きな注目を浴びた。2002年に現役引退。現在、タレントとして活躍する一方、髙田道場代表として子どもから大人まで分け隔てなく身体を動かす場として道場を開放している。2006年からDKC(ダイヤモンド・キッズ・カレッジ)を主宰して、小学生に“身体を動かすことの楽しさ”を教えるために、マット運動を中心にアマチュアレスリングの要素を取り入れた体操教室を、全国各地で展開。2015年、総合格闘技イベント「RIZIN」の統括本部長としての活動をスタート。

Twitter:@takada_nobuhiko

RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2017 バンタム級トーナメント&女子スーパーアトム級トーナメント 1st ROUND -秋の陣-

[ 日時 ] 2017年10月15日(日) 12:30 開場 / 14:00 開始

[ 会場 ] マリンメッセ福岡

[ 主催 ] RIZIN FIGHTING FEDERATION

[ 共催 ] テレビ西日本

[ お問合せ先 ] RIZIN事務局  03-5772-3223

BOND 編集部

記事一覧

BOND GIRL