九州・沖縄発 一流のオトナを諦めないあなたに贈るフリーマガジン変革をあきらめないオトナたちへ BOND

九州・沖縄発 一流のオトナを諦めないあなたに贈るフリーマガジン変革をあきらめないオトナたちへ BOND

細川護煕 ラストボンド INTERVIEW

“人が変われば、街も変われる”

地方都市が発展して行くためには? という類いの話になると、地元産業の活性化や企業誘致の推進、といった意見が必ず出てきますが、果たして、考えるべきはそれだけでしょうか。現代はもう大量生産、大量消費の時代ではありません。そろそろ、人間が生きて行くために本当に必要な文明や豊かさとは何か、ということを根本的に考えなければならない時期に差し掛かっているはず。先の震災は、この原点回帰型の思考を促す一つの契機になったと思います。

かつてラフカディオ・ハーンやケーベル博士など、明治期に日本を訪れた外国の人々は、当時の人々の慎ましやかな暮らしぶりを見て、「もし日本の人たちが善意と素朴を愛し、贅沢と浪費を憎むという精神をこれからも持ち続けることができたら、この国はもっとも優れた文明国になれるだろう。」と語ったそうです。私が総理大臣を務めた時にも質実国家と言う言葉を掲げていましたが、これからの地方が、ひいては我が国が進むべき道へのヒントはこの辺りに隠れているのではないでしょうか。

他の都市と同じように、これでもか、これでもかと物を作り、それをひたすら消費し続けるという旧来の発想は、すでに通用する時代ではないと思います。

では、地方にとって何が一番重要になってくるか。それは、教育だと思います。カナダの経済学者ガルブレイスも、地域の発展にはまず第一に教育だ、と語っています。確かに、ザルツブルグ、ケンブリッジ、オックスフォードなど世界の歴史を見ると、大学のあるところから発展してきています。ですから例えば、九州大学がMITより魅力的な学校になることが出来れば、もっと世界中から人が集まるようになるでしょうし、そうやっていろんな考えや発想が集積する場所になれれば、地方はおのずと発展して行けると思います。経済や政治云々の話なんて後回し。まずはソフト面、教育を充実させることが先決です。

もっとも、私は子供の頃からアマノジャクで、親、教師の言うことはまったく聞かず、「因数分解や微分積分、そんなものが将来何の役に立つのか?」と、教師に真っ向から楯突いていたクチですけどネ。(BOND FUKUOKA 02掲載分)

[ 細川護煕・ほそかわ もりひろ ]
昭和13年(1938)生まれ。上智大学法学部卒業後、朝日新聞社入社。参議院議員、熊本県知事、衆議院議員を経て、第79代内閣総理大臣。京都造形芸術大学・東北芸術工科大学学園長。第18代細川家当主。焼きもの、書、水墨、油絵、漆芸など幅広く創作活動を行っている。

BOND OFFICIAL
BOND OFFICIAL

記事一覧

BOND GIRL