九州・沖縄発 一流のオトナを諦めないあなたに贈るフリーマガジン変革をあきらめないオトナたちへ BOND

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井浦 新 インタビュー INTERVIEW

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ずっとやってきたことを、これからもずっとやり続ける。
大変だけど、それが僕にとって大切なこと。

——新さんがディレクターを務めているブランド「ELNEST CREATIVE ACTIVITY(以下、エルネスト)」を立ち上げから今年で7年が経ちました。振り返ってみて思うところはありますか?

井浦新(以下、井浦) ものづくりと役者としての活動は、同時期にスタートしました。役者のお仕事はご縁があって始めさせていただきましたが、ものづくりは自分から動いて一歩を踏み出した活動です。いわば僕にとっての初期衝動がものづくりだったんです。それをいまも継続できていることをうれしく思います。

——エルネストを通してどのようなことを表現したかったのでしょうか?

井浦 自然と街を繋げていくものづくりというのが、エルネストのベースにあります。そのうえで、着やすさ、動きやすさ、機能性を備えた服作りを続けてきました。

——エルネストの服はどれもオリジナリティにあふれていますね。

井浦 ファストファッションという言葉がありますが、せっかく作った服なのにシーズンやトレンドが終わった途端に過去のものになってしまう今のファッション業界のサイクル自体、僕にとってはファストに感じられるんです。最初からトレンドにはまったく興味がありませんでしたし、エルネストはそういうところで勝負したくなかった。トレンドのレールに乗らないで、自分がいいと思う服、より面白いものを作り続けてきた結果が、今のアイテムのラインナップなんです。

——エルネストの今後のビジョンを教えていただけますか?

井浦 そろそろ次の段階に進むタイミングですね。いままでエルネストで積み重ねてきたものづくりをベースにして、服だけでなく生活に必要なあらゆるものを作る工房のようにしたいと思っています。元々、エルネストはブランドではなく“ものづくり集団”という位置付けですから。ただ、第2段階に進むといっても新しく生まれ変わるという意味ではないんです。過去を捨てて新しくすることは簡単。でもそのカードをあえて使わずに、今まで続けてきたことを踏まえて、さらに重ねていく。ずっとやってきたことを、これからもずっとやり続ける。大変だけど、そういうスタンスを大切にしていきたいと思っています。

——そうやってものづくりをする時と役者として演じる時で頭の使い方は変わってくるのでしょうか?

井浦 実はものづくりをする時の感覚は役者の仕事にもすごく活かされているんです。役を演じるということは、言わば人間をつくるということ。ファッションと分野は違いますが、自分の頭の中で与えられた役の人物像をデザインして、自らがそれを演じることで形にしていくんです。一方、ものづくりは自分一人だけではできません。例えば、漆器を1つ造るにしても、木を選ぶ人がいて、木を削る人がいて、漆を塗る人がいて、出来上がったプロダクトを売る人がいる。そうやって何人もの人が介在することで、1つのものができ上がっていく。すると結果的に最初に自分の頭の中で思い描いていたイメージなんて遥かに超えていったところにプロダクトが飛んでいくんです。そこに人と一緒にものをつくるからこその面白さを感じるんです。

——ものづくりといえば、新さんは匠文化機構を立ち上げて活動もされていますね。具体的にどのような取り組みをされているのでしょうか?

井浦 自分の目で見たい美術や肌で感じたい自然に触れてきました。大人になってからもそうしたものを求めて旅をしたりして、フィールドワークを重ねてきました。そういう経験が今の自分を育てる養分になってきたんです。それを今まではずっと自分で楽しむことで満足していたのですが、培ってきた経験や教えてもらった知識を自分の中にとどめておくだけでなく、しっかりと人に伝えていきたいと思うようになりました。ですので、僕自身が体験した日本の文化、日本のものづくりを写真に収めて新聞や雑誌などのメディアで多くの人に伝えること。それが匠文化機構の活動のひとつでもあります。

——これまで新さんがライフワークとして活動されてきたことの集大成のように思います。

井浦 そうですね。ものづくりもまた活動の一部になっています。今、ご縁があって京都国立博物館の大使を務めさせていただいているのですが、そこの所蔵品など貴重なアーカイブをデザインソースにしたミュージアムグッズを作ったり、日本の匠に協力を仰ぎ、その技術を伝える作品をプロデュースするなど、多くの人にわかりやすく日本の文化を伝える活動を行っています。そういう活動では、いままでのものづくりの経験も活かされています。

[ 井浦 新 いうら・あらた ]

1974年東京都生まれ。90年代からファッションモデルとして多数の雑誌やパリコレクションなどで活躍。99年に『ワンダフルライフ』で映画初主演。その後、『ピンポン』をはじめ数々の話題作で印象深い演技を披露。『かぞくのくに』で第55回ブルーリボン賞助演男優賞を受賞。12年にはNHK大河ドラマ『平清盛』で崇徳上皇役を務める。13年4月からNHK『日曜美術館』のキャスターを担当し話題に。また、『ELNEST CREATIVE ACTIVITY』のディレクターとしてものづくりに取り組む一方、写真家として箱根彫刻の森美術館で個展を開催、日本の文化とものづくりを伝える匠文化機構を主催して理事長を務めるなど、枠におさまらない、多岐に渡る活動をしている。

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