九州・沖縄発 一流のオトナを諦めないあなたに贈るフリーマガジン変革をあきらめないオトナたちへ BOND

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横山 健 インタビュー INTERVIEW

15.12.08 BOND25208 BW OK1

僕には僕の住みやすい世界があるように
子供たちも彼らの住みやすい世界があるはず。

日本を代表するロックミュージシャン・横山健。彼にはミュージシャンとしての顔のほかに、経営者、そして父親という顔も持っている。伝説的なバンドHi-STANDARDでミュージックシーンのトップアイコンとなった横山氏は現在どのように音楽と向き合っているのか伺った。さらに、会社代表としての考えや父としての想いも尋ねる。

今だからこそ選ぶことができたテレビ番組への出演

——『Sentimental Trash Tour』のファイナルが来る3月10日に日本武道館で行われるわけですが、今、どんな心境でしょうか。

横山健氏(以降 横山) 僕にとっては日本武道館は特別な場所なんです。それこそいろんな国内外のアーティストのライブ・アット・武道館を聴いて見て育っているので。武道館サイドの方針変更などもあって8年ぶりの武道館公演となりますが、とても楽しみにしています。

——昨年僕たちファンを驚かせたのは横山健さんがテレビに出演されたことでした。あの出演はどんな気持ちで臨まれたのでしょうか。また実際出演された現場はどんな雰囲気だったでしょうか。

横山 自分にとって全てだったロックという存在が、日本の音楽シーンではそんなに大きなものではないかもしれないという思いがまずあって。今はソロシンガーやアイドル、アニメなどの音楽が多くの人に支持を得ています。だからこそロックがその巨大コンテンツたちと対等になるにはテレビへの出演が必要じゃないかと思ったんです。僕らは普通にインターネットでさまざまな情報を取捨選択していますが、その一方で実はテレビやラジオのみで情報を得ている人も多いように思います。そういう意味では日本は狭いようでまだまだ広いんです。

——だからより多くの方にロックを届けるためにテレビを選択したわけですね。

横山 そうです。それにいまのテレビって面白い媒体だと僕は思うんですよ。自分が求める情報をすぐに得られるインターネットの誕生でテレビやラジオは“垂れ流しの媒体”と揶揄されることもありますが、実際のところまだまだ強い影響力を持っています。それはテレビやラジオには選ばれた人やコンテンツしか登場しないから。情報ソースの多いインターネットは誰でも参加できます。「YouTube」や「2ちゃんねる」はその代表格でしょう。ところがテレビやラジオ、紙媒体はその媒体に選ばれた人が各媒体のルールに則った上でしか登場することができません。今は下火のように見えているかもしれませんが、そういった骨太の媒体はしっかりとした影響力を備えているんだと考察します。実際現場もとても刺激的で楽しかったです。また、アンチメジャー、アンチメディアという信念を掲げた時期を経て45歳となったこのタイミングでテレビに出られたことはすごく良かったと思います。例えば20代の時にメディアの力で世に出てしまっていたら、こんな風には考えられなかったと思いますね。

好きなモノやコトに関わる人に会えば刺激をもらえる。

——横山健さんがギター工房に行く映像を拝見したのですが子供のように楽しそうでこちらまで幸せになりました(笑)。年を経るごとに感動を素直に表現できなくなっていると実感しているのですが、それについて何か意識されていることはありますか。

横山 うーん、難しい質問ですね。僕は多分ギター工房に行けばいつもあのテンションで喜びますし(笑)。ご覧いただいた映像は横山健モデルの製作現場だと思いますが、それが別のギターでもきっと同じ反応なんです。僕は自分の好きなモノやコトが出来上がる工程やそれに関連する人に会うことで刺激を得られるタイプ。でもそれは皆さん同じじゃないですか。釣りが好きな人は釣竿職人さんに会えばテンションが上がるだろうし、車好きの人はその環境に身を置けばアドレナリンが出ると思うんです。

——ちなみに私が見たのはグレッチ(米のギター製造メーカー)の工房でしたが、横山健さんは楽器によって曲のインスピレーションが得られるということはありますか。

横山 もちろんあります。今メインに使っているグレッチはロカビリーなどでよく使われるギターなんですが、持ってみるとやっぱりロカビリーっぽい曲が弾きたくなります。そういうことは多々あって、例えばSG(エスジー・米ギブソン社のエレキギター)を持つと「AC/DC(エーシーディーシー・豪のロックバンド)」みたいなリフが思い浮かびます。先人たちはそれに気付きながら曲を作っていたのかもしれませんね。楽器に引っ張られるのが嫌な時期もありましたが、今は自分の可能性を拡げたいと思っているので楽器に曲を導き出されるのは心地いいです。

人を扱っている会社なので利益追求はできない。

——横山健さんはミュージシャンとは別に経営者という顔もあるわけですが、「PIZZA OF DEATH RECORDS」の代表として会社をどのように成長させたいとお考えですか。

横山 法人としての立場で言えば利益追求をしなければいけないということなんですが、ウチはそれをしていません。もし「PIZZA OF DEATH RECORDS」がモノやお金を扱っている会社であれば利益追求をしたかもしれませんが、僕たちは音楽を作る会社で、扱っているのは人なんです。だから事業計画を立てることは無意味だと考えます。もちろん、本年度は何枚のCDを発売していくら売上げを作ろうという場を設けることはできますが、それは机上の空論。思い通りに行くことなんてまずありません。だから結果的に利益追求ができないんです。だからそれはやめました。それよりも子供の頃、みんなが集まる場所ってありましたよね。そんな風に好きなバンドや信頼できるスタッフが集まる場所をキープしたいと考えいています。

——「PIZZA OF DEATH RECORDS」は利益ではなく、どんなことを追求されているのでしょうか。

横山 かなり大げさに言うと“人間哲学”です。僕の考えや気持ちがいっしょに働くスタッフや所属しているバンドに拡がり、本人たちやその周りの方も含めて楽しいという気持ちを共有して、それが思い出になればいいなと思っています。

——では、いっしょに働いてほしいと思う人はどんな人ですか。

横山 やっぱり熱い人。そして音楽への愛情がある人がいいですね。ウチのスタッフには音楽への愛情が薄いヤツもいますが、彼は熱い人なんでいっしょにいます(笑)。

[ よこやま・けん 

1969年、東京生まれ。1991年にHi-STANDARDを結成、ギタリストとして活躍。1999年にレーベル「PIZZA OF DEATH RECORDS」を設立、社長を務める。 Hi-STANDARD活動休止後の2004年にはアルバム『The Cost Of My Freedom』でKen Yokoyamaとしてバンド活動を開始。その後、ソロバンド通称・Ken Bandを率いて活動。2008年1月13日に日本武道館でのライブを「DEAD AT BUDOKAN」と称して行う。2011年3月11日の震災を期にKen Bandを率いて東北でフリーライブ等を積極的に敢行。同年9月18日にロック・フェス『AIR JAM 2011』を横浜スタジアムで開催する。そこで、11年 ぶりにHi-STANDARDの活動を再開させ、12年には横浜での収益を基に念願の東北で『AIRJAM 2012』を開催。その後、2013年3月にWOWOWで「ノンフィクションW 物言うパンクス!横山健~311、ハイスタ、その先に~」を放送、同年11月にドキュメンタリー映画「横山健 -疾風勁草編-」が劇場で公開された。2016年3月には、自身2度目となる武道館公演「Dead At Budokan Returns」が控えている。またバンドと並行して「PIZZA OF DEATH RECORDS」でも精力的に活動。これまでWANIMA、HAWAIIAN6、DRADNATSといった国内外のバンドを輩出している。

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