九州・沖縄発 一流のオトナを諦めないあなたに贈るフリーマガジン変革をあきらめないオトナたちへ BOND

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葛和 伸隆 インタビュー INTERVIEW

“HOTEL IL PALAZZO 信念と想いをカタチに”

——2009年7月からスタートした「リボーン・プロジェクト」がついに終えました。新しい「ホテル イル・パラッツォ」のテーマをお聞かせください。

葛和 伸隆(以下、葛和) テーマは「時のコンシェルジュ」。ホテルが提供する“そこで過ごす時間”の価値をさらに追求したのがこの空間です。例えば、通常のホテルでは玄関前には必ずと言っていいほどロビーがあります。しかし新しくなったこのホテルは、玄関を入るとロビーではなく長い回廊がお客様を迎えます。さらに回廊を進み、ロビーへ行くとまずラウンジにお通しします。こんな演出をするホテルはそう多くないと思いませんか。そうやって既成概念を裏切ることで、お客様に驚いて頂けると考えています。さまざまなシーンで感動を与えたい、それが「時のコンシェルジュ」の大きな役割だと考えています。

——今回の改装では、葛和氏の強い想いが感じられます。ご自身の想いを形にするために、どのようなことを大切に考えられていたのでしょうか。

葛和 まずはブレないことが大切だと思います。私はホテルとレストランに関わる事業しかしたことがありませんし、それ以外の事業には興味がありません。だからこそ、ホテルやレストランに関わるニュースや流行にとても敏感でいられるのだと思います。新しいホテルができれば泊まりたいと思いますし、評判のレストランがあれば必ずと言っていいほど食べに行きます。でも、それは意図的ではないんですよ。行きたいから行っているんです。本能に従った行動だからこそ、多くのことに気づくことができるのだと思います。また、私は視覚や聴覚だけでなく「感覚」も情報の一つと捉えています。今はインターネットなどで現地に行かなくても、ヴァーチャルな世界でそこの色や音は確認できます。しかし、空気感や介在する人など、「感覚」的なことは現地に行かなくては分かりません。例えば館内に飾られているいくつかの絵は、世界で最も歴史ある美術品専門のオークションハウス「クリスティーズ」に参加し落札したものなんです。絵を購入するのにわざわざ……と思う人もいると思いますが、大切なのはその時の「感覚」なんですよ。そうして購入した絵は、「感覚」といっしょに私の歴史の一部になりますから。そういった経験を重ねることで、お客様に共感頂ける「感性」を養うことができると思います。

——葛和氏のそんな感性が世界に認められ、九州で唯一のSLH(SLHの詳細は左頁)加盟ホテルとなりましたね。

葛和 これは、日本の伝統的な「おもてなし」を基本にして、きめ細やかなサービスができる究極の“スモール・ラグジュアリー”を実直に目指した結果だと思います。もともと内田繁というデザインの巨匠が作り上げた空間をゼロに戻すわけですから、私自身も大きな重圧を感じていました。そんなプレッシャーをはねのけて、素晴らしいデザインで応えてくれたジーク株式会社の川野氏をはじめ、シーティング家具を担当した株式会社ワイス・ワイスの廣中氏、古くから交流があり今回もディスプレイする作品を手がけてくれたさわ弥土工房の横尾氏など、関わってくれた全ての人たちに心から感謝をしています。

——新生「ホテル イル・パラッツォ」を拝見して、想いが形にできることを再確認することができました。しかし、今はその「想い」を持てないことに悩んでいる人も多いと思います。

葛和 「想い=したいこと」だと思います。「したいこと」が見つからないという人は、自分のできる範疇でものごとを考えているのではないでしょうか。私は自身に上限を作らず「したいこと」への挑戦をしています。事業をする上でもそれは同じです。「どうすれば儲かるか」と考える方もいらっしゃいますが、それでは信念がブレてしまいます。信念を曲げず、まずは自分自身の「したいこと」を見つけることが必要ではないでしょうか。儲ける・儲けないという結果は、そこにどれだけ想いを込められるかで決まると私は考えます。この大規模な改装にも莫大な予算がかかっていますし、それが身の丈に合っているとも私自身は思っていなかったんです。その状態でこの改装をやり遂げたいなんて、世間的に見ればただのワガママですよね(笑)。それでも「もっとお客様を主役にしたホテルにしたい!」という想いを貫いた結果、世界が認めるホテルへと成長することができました。つまり「したいこと」を形にするために必要なこととは、信念を持った「大人のワガママ」を納得するまで突き通すことですね。(BOND FUKUOKA 02掲載分)

[ 葛和 伸隆・くずわ のぶたか ]
株式会社ジャスマック代表取締役社長。
1965年生まれ。高校卒業後、カナダのトロント大学で経済学を学ぶ。卒業後、ジャスマック・カナダへ入社し開発事業に従事。28歳で帰国し、1996年にジャスマックプラザ代表取締役社長、翌1997年にイル・パラッツォ代表取締役社長に就任した。1998年に「門司港ホテル」を開業し、1999年に株式会社ジャスマック代表取締役社長に就任。現在、「ホテル イル・パラッツォ」「門司港ホテル」のほか、「5th HOTEL」やバイキングレストラン「アレッタ」を展開する。

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