九州・沖縄発 一流のオトナを諦めないあなたに贈るフリーマガジン変革をあきらめないオトナたちへ BOND

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ナガオカケンメイ インタビュー INTERVIEW

“日本の47都道府県にそれぞれのオリジナリティがある。”

ロングライフデザインブランド『60VISION』や『カリモク60』を立ち上げた日本を代表するデザイナーの一人・ナガオカケンメイ。
彼が提唱する「ロングライフデザイン」とはどういうモノなのか、そして「ロングライフデザイン」と観光を結びつけた『d design travel』とはどんな媒体なのかを伺ってみた。

——まず、ロングライフデザインという考えがどういうものなのか、そしてなぜそこに至ったのかを伺わせてください。

ナガオカケンメイ(以下、ナガオカ)デザイナーはモノを生み出す職業ですが、ここ数十年で日本が消費大国といわれるようになりそれに加担するようにデザイナーもどんどん新しいものを作ってきました。私も当初はより新しいモノを求めそれを作っていましたが、ある時その状態がイヤになって……。その時に新しいモノ作りの対極にあるものを考えたんです。それは「使い続けられる」「修復して使える」「代々受け継いでいく」といったモノですが、それらがロングライフデザインを成していると考えています。私はロングライフデザインをデザインの業界ではない所に普及させることがデザインの新しい道で、新たなデザイン消費のカタチと思い現在の活動に至りました。

——ロングライフデザインを商品で表現する「D&DEPARTMENT」は、どのような背景で作られたのでしょうか。

ナガオカ 「D&DEPARTMENT」が創業した2000年当時は、新しいものが多数そろう量販店と、古い商品の置き場となるリサイクルショップが乱立した時期。そんな時代だからこそ意思のある売場を持ったお店が必要だと感じ、「D&DEPARTMENT」を作りました。このお店はアクセスがあまり良くない場所にありますが、これはお客様にわざわざ足を運んでもらいたいという考えから。店に来るという意識を持ってもらうことでお客様とお店に共感や共鳴が生まれます。そうすると商品を通して対話ができる。つまり、お客様とお店という以上の関係性を築くことができるんです。その場の欲求で消費するのではなく、目的を持って買い物をするという本来あるべき消費をここで促すことができればと思います。

——そんなナガオカさんの想いが詰まった媒体『d design travel』が観光に特化している理由を教えてください。

ナガオカ もともとロングライフデザインを伝える媒体として『d long life design』を4年ぐらい発刊していました。ただ、これがあまり広まらなくて(笑)。その失敗をデザイナーのエゴとして反省しどうすればもっと読んでもらえるかを試行錯誤する中で、観光というところに落ち着き『d design travel』になったんです。つまりカタチは観光情報ですが、そこにはロングライフデザインが詰まっているんです。この本を作っていて実感したのは、47都道府県にはそれぞれのオリジナリティがあるということ。また都市部から離れるほど、ロングライフデザインが息づいています。以前は東京が日本のデザインの最先端で、他の土地にはデザインと呼べるものはないと思っていました。しかしいざ各地に出てみると古くから伝わる祭事や風習、工芸のほとんどがロングライフデザインでした。今はそれに出会えることがとても楽しいです。

——ナガオカさんから見て、ロングライフデザインになり得るものは最近ありますか。

ナガオカ 結論をいうと現時点ではまだですね。ただ、経済成長期からバブル期、そしてその崩壊を体験し、さらに大きな震災を目の当たりした若い世代は消費することに慎重になっています。現在モノが売れない時代といわれていますが、それは上の世代の人間が意味のない急成長をするためにきちんとしたモノを作らず消費のみを促した結果ではないでしょうか。本当に欲しいと思えるものなら若い人たちもお金を出します。そしてその若い世代が、今、モノ作りに携わってきています。だから、これからロングライフデザインが生まれる可能性は大いにあると思います。

——では最後に福岡の人たちにメッセージをお願いします。

ナガオカ 昨年11月にオープンした『D&DEPARTMENT FUKUOKA』は福岡の文化や歴史をデザインという視点で伝える都市機能の一つとして愛してもらえればと思います。また、今年の6月頃には『d design travel 福岡』も発刊を予定しています。そちらでも福岡のロングライフデザインに触れてみてください。(BOND FUKUOKA 09掲載分)

[ ナガオカ ケンメイ ]
1965年、北海道生まれ。日本デザインセンター・原デザイン研究室を経て、2000年、デザイナーが考える消費の場を追求すべく、東京・世田谷に『D&DEPARTMENT PROJECT』を開始。同時に『60VISION』を生み出し、60年代の廃番商品をリブランディング。2005年、隔月刊誌『d long life design』を創刊。2009年11月に日本をデザインの視点で案内するガイドブック『d design travel』を発刊した。2013年より武蔵野美術大学客員教授、京都造形大学教授。

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