九州・沖縄発 一流のオトナを諦めないあなたに贈るフリーマガジン変革をあきらめないオトナたちへ BOND

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中村 貞裕 インタビュー INTERVIEW

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僕らみたいにカルチャーを作る人は
ゼロからイチを作ろうと思っちゃダメ。

 イスラエル発のチョコレートブランド『MAX BRENNER』や台湾発『ICE MONSTER』を日本に上陸させ、ことごとくヒットさせるブームの仕掛け人・中村貞裕氏。彼はどんな視点で人々を魅了する店を見つけ、どのようにブームを作っているのだろうか。今回は特別に中村式ヒットの方程式を解説してもらった。

福岡なら朝食文化が
根付いてくれるはずだと思った。

——まずは7月にオープンを予定している『bills福岡店』について教えていただきたいのですが、なぜこのタイミングで福岡出店なんでしょうか。

中村貞裕氏(以降、中村) 場所や物件など、いろんな条件がこちらの思いと合致したのがこのタイミングだったということはあります。billsはPR会社との合併会社で運営していて、大阪や京都でも出店できる場所を探していたのですが、シドニーをはじめ、日本、ロンドン、ハワイ、ソウルとグローバルに展開するブランドであることから、九州エリアで出店するなら間違いなく福岡と思っていました。それは東京と違って福岡がアジアにも目が向いているということと、九州の中心であるということが理由ですね。といっても細かいマーケティングをしたわけじゃないんですよ。ただ、僕も福岡が大好きだし、ぶっちゃけ福岡が「いいなぁ」と思ったんです。

——そんな感覚的なことで出しちゃうんですか?!

中村 そもそもbills日本初出店は鎌倉の七里ヶ浜ですよ。例えば日本人がほとんど知らない店を糸島に初出店させたみたいな感覚です。当初先方からはシティーミーティングの場として出したいという希望があって、都心への出店も考えられていたんです。でも、ぼくは「かっこいい朝食」というカルチャーを日本に持って来たかったんです。billsの創始者であるビル・グレンジャー氏が、ビーチカルチャーを表現出来る場所に出店したいという想いと上手く合致し、ビル氏とともに七里ヶ浜にオープンすることを決めました。その町にいる人たちにもきっと喜んでもらえると思ったのも出店理由の一つですね。福岡も同様で、福岡で活躍されている僕の知り合いにbillsが好きと言ってくれる人が多いんです。そんな状況なら福岡にも朝食文化が根付いてくれるはずだと。

——中村さんはどう感じると日本に持ち込みたいと思うんですか。

中村 当然、雑誌や映画で見た“かっこいい”と感じた世界観やカルチャーは日本に持ってきたいと思います。それと実際現地に行って、食べたものが美味しかったり、写真に撮りたいと思ったり、オーナーの仕事が素晴らしかったり、そういうポジティブな感覚が5つぐらいあると、日本出店を考えますね。それと、これからオリンピックイヤーに向けて東京を中心にインターナショナルフードレストランを広めたいと考えています。『THE APOLLO』(オーストラリア発のモダンギリシャレストラン)や『Guzman y Gomez』(オーストラリア発のメキシカンダイナー)もその一つ。

——それはある意味、日本の文化を外国に発信したいという行政の意向とは逆行しているようにも思えますが。

中村 いわゆる「クールジャパン」というのは、日本の伝統文化やヲタク文化を発信することだからミーハーな僕にはちょっとしっくりこなくて(笑)。森ビルの元社長森稔氏の葬儀の時、“都市の発展なくして国の発展はない”というメッセージがあったんですが、僕はそれに強く感銘を受けました。だから僕は独自に「HOT TOKYO」というテーマを掲げ、新しいものを持ち込んで東京を盛り上げながら国に貢献できればと思います。

20年後、世界のどこかの街で
福岡っぽいと言われる街づくりを

——都市に合わせて新しいものを展開されている中村さんですが、ベンチマークされている場所はどこですか。

中村  当然、東京のベンチマークはN.Y.になるわけですが、例えばN.Y.の五番街を歩いていると銀座っぽいなと考えたり、ソーホーを歩いていると青山っぽいなと考えるんです。そうすると、五番街にあるものは銀座にも必要だと思えるんです。こんな風に世界の都市を特質ごとに分けると、街の状況が見えてきます。僕が考えるに、福岡はスペインのサンセバスチャンに近いかと。サンセバスチャンにも屋台が並んでいて、街の人はバールホッピングをしている。スペインに7軒しかないミシュラン3ツ星レストランが3軒もあるというのも福岡っぽいところです。僕が言いたいのは国内のポジションを気にするのではなく、世界の都市にベンチマークすることが重要だということ。それでベンチマークするのは似ている都市ならどこでも良いというわけではなく、メディアによく取り上げられていて、かつミーハー的な話題となっている場所を選ぶ。例えば「あの行列に並びたい!」と思うような場所であるとか。そのベンチマークを参考に街をブラッシュアップして、20年後、30年後に世界のどこかの街で「ここ、福岡っぽい街だね」と言われる都市になるのが最終目標なんじゃないかな。

——その一手が今回のbillsオープンなんですね。

中村 そうなればいいけどね(笑)。僕は福岡が好きですし、今まで東京を盛り上げようと奔走していましたが、これからは日本各地を盛り上げる活動もしていきたいんです。それで、九州を盛り上げるならまずは福岡だと。話は少し飛躍するんですが、パリの人はパリジャン(&パリジェンヌ)、N.Y.の人はニューヨーカーというように、Tokyojinと言っていこうという動きがあって僕らもそれに賛同しています。そんなわけで、福岡も世界に向けた“博多っ子”的な言葉を作ってもいいんじゃないかと思うんです。

[ なかむら・さだひろ ]

1971年生まれ。慶應義塾大学卒業後、伊勢丹を経て2001年、トランジットジェネラルオフィスを設立。カフェブームの立役者としてブランドカフェの展開、さらに『MAX  BRENNER』『ICE MONSTER』『DOMINIQUE ANSEL BAKERY』など話題の店を多数手がける。また、デザインホテル、シェアオフィス鉄道など話題の施設もプロデュースするなど幅広い分野で活躍。自身をミーハーと評する氏は、「1×100=100×1」という数式が彼のビジネスの発想と話す。つまり、1の知識を100個持っている人と100の知識を1持っている人は同じで、自分は前者であるということ。知識を広く浅く取り入れることは中村氏にとってストレスがなく性に合っているのだとか。

■ホームページ:www.transit-web.com

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