九州・沖縄発 一流のオトナを諦めないあなたに贈るフリーマガジン変革をあきらめないオトナたちへ BOND

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中村 貞裕 インタビュー INTERVIEW

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カフェオーナーから
CEOへ。

——さまざまな業態で幅広く活躍する中村さんですが、世間ではどんな人だと思われているのでしょうか。

中村 カフェブームの時は“カフェオーナー”でしたよ(笑)。それから今の会社を立ち上げて代表取締役になったんですがbillsのパンケーキやアイスモンスターのかき氷など、ヒット商品が生まれていく中で、“パンケーキとカキ氷の人”になりました(笑)。で、さすがにそれもおかしいので知人に「海外では僕みたいな立場の人はどんな風に呼ばれるんですか?」と聞くと、「中村くんはプロデューサーじゃないんだよね。どちらかと言えばカルチャーエンジニアかな」と言われて、『Ace Hotel(エースホテル)』の創設者、アレックス・カルダーウッド氏の名刺を思い出したんです。彼の名刺にはCEOに“Culture Engineer Officer”と注釈があって、これは自分にしっくりくるなと。それから会社説明会でも、僕たちの会社は今までなかった文化(culture)を組立て(engineering)ながら世の中に浸透させ、ライフスタイルに影響を与える会社と話しています。そういった志があれば、厳しい時が来てもモチベーションが保てるんです。例えばbillsは今年で8年目を迎えますが、売上げもずっと右肩上がりなんです。

ブームからトレンド、
そしてカルチャーへ。

——では中村さんにブームの作り方を教えていただきたいのですが。

中村 僕らが得意なのは自分たちの手がけたものが一瞬にして話題となるというプロジェクト。まず店名とコンセプトを作ります。コンセプトはメディアにどう捉えられるかを考えた15文字程度のキャプション。海外から持ってきた店舗なら海外メディアに紹介されたフレーズを探します。例えばbillsだとNYタイムズで紹介された「世界一の朝食」を使いましたし、アイスモンスターは「世界のベストスイーツ」に選ばれたことから、ワードを作りました。次にその店のコンテンツを50ぐらい挙げます。例えば「インテリアデザイナー」「グラフィック」「シグニチャーメニュー」といった風に。それからメディアコンテンツに店のコンテンツを結びつけるんです。「イケメンカフェ特集」「夜景が見えるカフェ」「カフェの北欧カップ」みたいな感じで。媒体と店のコンテンツの結び付きが強いほど、メディアに取り上げられる枠も大きくなります。昨年までは「表参道」「日本初上陸」「台湾」といったワードが強かった。また、自分からコンテンツを強くすることもします。今、立て続けにギリシャ料理やメキシカン料理を手がけているのは「インターナショナルフード」というコンテンツを、メディアに乗せるため。このように話題を作ってブームを仕掛けるんですが、これをライフスタイルに影響させるためにはトレンドにしなければいけません。そのためには大きな“くくり”を作ることが重要なんです。『Guzman y Gomez』の例で話すと、まず日本や世界で話題のメキシコ料理店でくくって、メキシカンってイケてるぞって空気を作ります。さらに今話題の『Shake Shack(シェイクシャック)』(N.Y.発のハンバーガーブランド)とくくれる“プレミアムファストフード”というコンテンツも提供。ここではちょっと高級で高品質なファストフードがこれからトレンドですと打ち出せば、そればまたメディアコンテンツになります。こんな感じでプロモーショングループをたくさん仕掛けながら、ブームをトレンドとしてライフスタイルに浸透させます。僕らはこれを文化として根付かせたいという想いが根本にあるので、最終的には一過性ではないお店にすることができるんだと考えています。

大事なのは止まらず
流行の種を集めること。

——最後に、文化を作る上で大切なこととはどんなことですか。

中村 まずは二番煎じ過ぎないこと。僕はトップグループに入っているなら、そのブームを作ったと言って良いと思ってます。実際、カフェブームがあった時もその立役者として名前を挙げてもらいましたが、実際は駒澤大学前の「BOWERY KITCHEN(バワリーキッチン)」を見て、飛びついただけなんです。でもそこでトップグループにいながら継続したから立役者になれた。これを2位以下の集団でしてしまうとただの真似になってしまうんです。それと僕らみたいなスタイルでカルチャーを作ろうとする人は、ゼロから作ろうと思っちゃだめ。ライフスタイルに影響を与えたい人は常にアクティブに動いて、みんながワクワクしている話題を一つでも多く探さないと。ゼロから生み出そうとするとそこで考えが止まってしまう。それよりも流行の種をたくさん集めてそれを育てるほうがいいんです。それには情報のアウトプットも大切。良い情報をインプットするには良い情報をアウトプットすること。良い情報を発信する媒体は良い情報を得ているからなんです。僕はいろんな情報をアウトプットしたい。今話題になっていることを極力しておきたいから。いろんな情報をインプットして、さらにアウトプットすることで自分が目利きになっていく。その成長が今は楽しくてしかたないですね。

 中村貞裕氏はとても正直で、カッコつけない人だった。普通「チャラい」とか「ミーハー」という言葉はネガティブワードであり、あまり言われたくない言葉な気がするが、彼はそれを完全に自負している。また、一般的に新規事業開発が成功した人は「ゼロからイチを作った!」とか「詳細なマーケティングが功を奏した!」と言いそうだが、中村氏は「トップ“グループ”に入れればいい」「マーケティングよりカルチャーですよ」と話した。この話は中村氏が手がける「飲食事業」に関してだけではないと思う。
 あらゆる分野で、完全に新しいモノを生み出すことが難しい時代となった今でも、常に新しい話題=カルチャーを投げかけてくる中村氏。この夏の、『bills』をきっかけに福岡人のライフスタイルにどんな影響を及ぼしてくれるのか、楽しみだ。そして、福岡に住む我々ももっと何かを生み出せるはずだ!という可能性を強く感じられるインタビューだった。

[ なかむら・さだひろ ]

1971年生まれ。慶應義塾大学卒業後、伊勢丹を経て2001年、トランジットジェネラルオフィスを設立。カフェブームの立役者としてブランドカフェの展開、さらに『MAX  BRENNER』『ICE MONSTER』『DOMINIQUE ANSEL BAKERY』など話題の店を多数手がける。また、デザインホテル、シェアオフィス鉄道など話題の施設もプロデュースするなど幅広い分野で活躍。自身をミーハーと評する氏は、「1×100=100×1」という数式が彼のビジネスの発想と話す。つまり、1の知識を100個持っている人と100の知識を1持っている人は同じで、自分は前者であるということ。知識を広く浅く取り入れることは中村氏にとってストレスがなく性に合っているのだとか。

■ホームページ:www.transit-web.com

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