九州・沖縄発 一流のオトナを諦めないあなたに贈るフリーマガジン変革をあきらめないオトナたちへ BOND

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迫慶一郎 インタビュー INTERVIEW

“仕事にワクワクできるかどうかは、自分のクリエイティビティにかかっている。”

——迫さんの仕事はかなり多岐に渡っていますが、どのような軸で活動されているのでしょうか。

迫慶一郎(以下、迫) もちろん建築家というのが軸です。しかし、せっかく依頼されたプロジェクトに対して、経験がないから断るというのはしたくありませんし、経験のないプロジェクトに携われるのはチャンスだと考えています。建築の世界にもさまざまなジャンルや用途がありますが、それを建てたことがないから断るという人はいません。今回、キャナルシティ博多のクリスマスディスプレイのアートディレクションや第四の携帯電話会社「freebit mobile」のトータルプロデュースに関わらせていただきましたが、どれも未体験のプロジェクトです。建築以外のプロジェクトに携わることも、建てたことがない建築を手がけることの延長線上にあると思います。

——ではお話に出た、キャナルシティ博多のアートディレクションでは、どんなことを念頭に考えられましたか。

迫 私がアートディレクターとして就任した時点で残り時間はわずか半年、すでにキャストは決まっていました。ただ、全体を統合するコンセプトがなかったので、テーマカラーをピンクとし「愛」を表現することを提案したんです。ピンクで施設全体が染まる、つまり、キャナルシティ博多が愛で包まれるというイメージを創ろうと。本当は各店舗にも参加してほしかったんですけど……さすがに時間がありませんでしたね(笑)

——プロジェクト、フリービットのプロデュースについてもお聞かせください。

迫 フリービットはスマートフォンキャリア事業に新たに参入した企業で、「モバイルコストを1/3へ」をコンセプトとした新ブランド「freebit mobile」を展開する会社です。私はそのトータルプロデューサーとして招かれました。この会社はとても優れた技術を持っていて、開発力もあります。ただ、会社の内部からは自分たちの本当の良さが見えにくくなります。私はこのブランドを客観視し、戦略を立てることが役目だと考えました。具体的には、利用者に実感・体感して頂くためのユーザー体験の部分、つまりブランドロゴを含むグラフィック、携帯端末、店舗デザインをトータルに担当しています。

——都市計画や新たな携帯会社のプロデュースなど、大きなプロジェクトに次々と関わっていますが、そのモチベーションはどのような方法で保っていますか。

迫 モチベーションを保たなければ、という考えはありませんね。ただその仕事に対して「やりたい!」と思っているだけなんですよ。仕事に対してどれだけワクワクできるかは、自分のクリエイティビティにかかっていると思います。厳しい条件下で素晴らしいデザインが生まれて、クライアントの合意も取り付けた。そういう状況なら誰しも実現したいと考えますよね。そこにどうやって自分が持っていくかなんです。これは仕事の大小は関係ありません。どんな仕事でも全力で実現したいものに挑戦する。それを繰り返し遂行しているから、多くの人に「この人は面白い」と感じていただけるのかなと思います。

——では最後に、現在ビッグプロジェクトの多くが中央で行われていますが、地方都市にはその力がないと感じますか。

迫 私は地方都市が知恵を絞りきっていないと感じています。皆さん中央といいますが、それは首都を意味していますよね。首都はどこの国にもあります。だからといって他の国の首都以外の都市にビッグプロジェクトがないかといえば、それはNOです。やはり、いかに独自性を出せるかなんです。もっといえば、この質問が福岡の人から出ていること自体が“甘え”ですね(笑)。私は東京を除けば、日本の中で福岡が一番いい条件にあると思います。例えば空港から都市部までのアクセスの良さは世界でも指折りです。また、都市計画をして分かったんですが、福岡のコンパクトさも非常に価値があります。そういった高いポテンシャルを持っているのにあまり気づいていない。このポテンシャルをもっと活用するべきですね。しかし、福岡のようにポテンシャルの高い街だけしか生き残れないとも思っていません。きちんと知恵を使えば何かあるんです。状況に甘んじるのではなく、その可能性を模索して街も人も元気になってほしいですね。(BOND FUKUOKA 08掲載分)

[迫 慶一郎・さこ けいいちろう]
1970年、福岡県生まれ。東京工業大学大学院を修了。山本理顕設計工場を経て、2004年にSAKO建築設計工社を設立。現在、北京を拠点に90を超えるプロジェクトを、中国、日本、韓国、モンゴル、スペインで手掛ける。建築設計とインテリアデザインを中心に、グラフィックや家具、都市計画マスタープラン、さらには携帯電話会社のプロデュースとその仕事範囲は多岐に渡る。

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