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福岡の飲食店の今!最高の「クリエイティブ」か?珠玉の「ヘリテイジ」か? LIFE

 

「福岡は、いかがですか?」

「いや〜、福岡は何食べても美味しいのが魅力ですよね!」

これは、福岡に出張で来た人が、「女性がキレイ」の前に、必ず言ってくれる言葉である。福岡最大の魅力の一つは「食べる」ことであり、それは観光客だけでなく、福岡に住む我々にとっても鼻が高い。「京の着倒れ、大阪の食い倒れ」というが、もはや「食が楽しみ!」イメージでは、完全に福岡の方がメジャーなんじゃないかと、勝手に思ったりしている。そして、そんな飲食の魅力あふれる街で働く僕らが、自然に恩恵を受けている、福岡の魅力ある「飲食店文化」について、今回は考えてみた。

まず、この春、天神やJR博多駅周りを中心に、新しい飲食店が約80店舗以上オープンした。天神では、「ソラリアプラザ」が7Fを全部フードフロアに改装。また、JR博多駅周辺では、ご存知「博多マルイ」が入る「KITTE」には一挙に50店舗の飲食店がオープン。JR博多シティのAMUプラザ地下1階には、「hakata9」が、博多屋台の独自解釈という店舗展開で登場するなど、稀に見る新店ラッシュとなった。

そんな中、今、最も熱いと言われているのが、JRJP博多ビルの地下に誕生した「駅から三百歩横丁」だ。

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いわゆる天神・大名地区に点在する「路面店の雄」11店が、ワンフロアのオープンなスペースに、まさに「横丁」を形成している。この地下フロアは、その名の通り駅から300歩余りの距離にあるが、僕が行った限り毎回大賑わいだ。

その中心的な店舗の一つが「焼鳥八兵衛」。午後1時すぎ。このお店にお邪魔すると、威勢のいいスタッフの声に迎えられ、すでにいい感じに出来上がったビジネスマンが数組いる。完全に時間感覚を失った。メジャー商業ビルの地下1階は、まさに昼から酔える「横丁」になっていたのだ。僕は、ここのオーナーである「八島且典」氏に、さっそくこの光景について、話を聞いた。氏は、この道33年の超ベテランであり、すでに「台湾」や「バンコク」にもお店を展開している、まさに、チャレンジングな大御所だ。

曰く「これだけの路面店の雄が集まってるところで、ランチなんか必要ないと思ったんよ。ランチはどこでもやってる。それよりもお客様を連れて来て、昼からグランドメニューで楽しんで欲しい。」そもそもここにはランチなどない。昼から普通にガンガン飲んでください!なアチチュードなのだ。確かに“良い子の街:福岡”には、こんな光景はあまり見なかった。八島氏は「どこにでもあるものをやる為に私達は横丁を作ってるんじゃない。絶対に他にないものをやらないと意味がない。」と。キビキビと様子を伺いに来てくれるスタッフのことを褒めると、「人手不足の飲食業界は、今だからこそ働く人たちを幸せにする仕組み作りをしないと勝てない。」という。あらゆる面で「常に先頭を走る。求められているものを感じとって、かつ固定概念にとらわれない。これこそがまさに、福岡の飲食店らしさだと思うよ。」常に「かつてない」飲食店を追い求める八島氏の姿勢に迷いは全く無かった。この店には何時に立ち寄っても、ノーリミットで飲み食いできる。最新飲食店の威力を感じたのだった。

たしかに、僕が今、東京からのお客様をお連れする割合が最も高い店「炉端 百式(福岡市中央区警固)」にしても、「炉端焼」という昔からある業態を、気合の入った店づくりと、食材を活かした料理、自然派ワインまで揃える意外性に加え、働くスタッフ全員に恋してしまう楽しさが展開される。

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オーナー:上山修氏の、どこまでも顧客を楽しませてやろうという魂を浴びまくれるこうした空間こそ、福岡最新にして、最旬なのだろう。他にも、注目の飲食店は沢山ある。僕たちは、一生懸命に情報を集めてはそういう所に行って「あれはいい」「これはいい」だと偉そうに話している。

そんなある日、BOND編集部の後輩「フジボー」が一軒の店に誘ってくれた。大名にある創業30年にもなる老舗居酒屋「みのる」だった。僕は気が重くなった。「みのる」には、かれこれ12年も行っていなかった。新しい店がどんどん出来て、それを追いかけているうちに、多くの時間が経過していたのだ。希薄になっている記憶のままに、店の暖簾をくぐると、そこに、全然変わらない店主の「みのる」さんが居た。不義理の気まずさを交えて会釈すると、驚くことに「みのる」さんは「お〜・・」と、僕の顔を覚えていた。「すみません。不義理してまして・・(苦笑)」というと、「一緒に来てた、ヒサトミは元気か?」と言われた。すごい!友人の名前すら覚えている!その瞬間、完全に時間が12年巻き戻った。頻繁に来てた頃の「みのる」の雰囲気が蘇ったのだった。その後は、カウンター越しに出てきた、懐かしの「ポテサラ」と「焼酎」二杯で常連のような雰囲気で飲める心地よさに沈んで行った。

「みのる」には、キビキビ動くかわいいスタッフもいない。いいおっさんの(失礼)「みのる」さん一人だけだ。それどころか、焼酎を頼むと「グラスはあそこね」と指さされる。自分で取れと。そして一升瓶をおもむろにドンと置かれる。自分で注げと。「意外性あるサービス」で顧客を楽しませようというつもりなど、微塵もない(逆に意外性なのか!?笑)。自分はもう47歳のアラフィフで会社では、なかなか偉い(笑)。しかし、全部言われるがままに自分でやって、なぜか「あざ〜す!」と言う弟分キャラになってるのが心地いい。また、隣で焼酎をすすっていた後輩:フジボーに至っては、くだらんことを行って「みのる」さんに怒られているではないか。しかし、彼も非常に嬉しそうだ。乱暴に言えば、「スターバックス」コーヒーが提唱する「サードプレイス」的な役割を、ここ「みのる」は30年も前から担っているではないか(笑)。

 

この全く違うタイプの飲食店。この優劣を比べて何になるだろうか?

新しい方が素晴らしいとか、古い店こそ本質があるとか、くだらないことを書くつもりはない。「オペレーションが」とか「流行のメニューが」とか、「コンセプチャルな内装が」的なアプローチでの比較は、飲食ビジネス的な分野では比較研究を際限なくやれるかもしれないが、「今日、楽ければいい!豊かであればいい!」一心の我々「いち顧客」にしてみれば関係ない。すべては、気分とお店のバランスにあるのだ。「横丁の八兵衛」や「百式」で、お連れした他県からのゲスト達が「なんでも美味い!」「こんなお酒が飲めるなんて!」「博多弁のスタッフに惚れそうだ!」=「福岡はなんて楽しいところなんだ!」と言って大満足して感謝される時、僕は、八島さんや、上山さんに心からお礼を言いながら店を出る。つまり、福岡・博多の「対外的な勝負場」的なイメージでお店を使わせてもらうことも多い。一方、「みのる」は時速300km位の体感速度で毎日を乗り越えていて、自分のエンジンが破損警報が出てる時なんかにふと立ち寄ると、一気に巡航速度が下がり、周りを見渡せる自分に戻れる気がする、いわば「日常の強制冷却装置」のような存在である。

日本で最も「食が楽しみ」なイメージを持つ街:福岡。今回紹介した「八兵衛」や「百式」のような、最新かつ最旬の飲食店は、文字通り最高の「クリエイティブ」だと言えると思う。一方、自分自信を見直せるような変わらぬ「みのる」のような店は、良い意味での貴重な「ヘリテイジ」だ。その二つが、ものすごく高いレベルで共存し続ける土壌が脈々とカルチャーに息づいているのは、お客さんがお店を上手に活用することでレベルが上がって来たからであり、逆にそれにより、他のお客さんがお店に救われたり、育てられたりするという素敵なサイクルが周り続けてきたからではないかと思う。だから、「ご飯がおいしいい」「女性がキレイ」の次に「福岡は人が良い」という評価が出てくるのかもしれない。

 

福岡の飲食は「屋台文化」だと言われる。すぐ仲良くなって、すぐ常連(な気分)になれる。皆さん、もっとご飯食べに行ってお酒を飲めば、お店も街も、そして自分も楽しくなるはず。難しい取り組みじゃなく、飲み食いすることで良くなっていく、奇特な街「福岡」。さあ、今夜どこ行きますか?

 

 

BOND編集長
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