九州・沖縄発 一流のオトナを諦めないあなたに贈るフリーマガジン変革をあきらめないオトナたちへ BOND

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あの「bills」のビルさんは、パンケーキのように優しく柔らかい方でした! LIFE

“世界一”

ハリウッドスターなど世界中のセレブリティたちを虜にし、“世界一の朝食”とも称される『bills』が西日本初となる福岡に出店し、はや一年。熱しやすく、冷めやすい人が多い県民性といわれる福岡だけに、オープン直後は当然ながら連日長蛇の列を成していたのは記憶に新しい。そんな飽きやすい人が多いといわれる福岡において、一年が経った今でも行列ができるほどの人気を維持しているのはレアケースだ。『bills』はそんな福岡のジンクスを打ち破った稀有な存在。僕自身、何度もお店を利用し、看板メニューのリコッタパンケーキや、ふわふわのスクランブルエッグなどをいただいたが、どれも今まで味わったことのない料理ばかりで、本当に驚き、そして感動した。
オーストラリアのシドニーで誕生し、イギリス、ハワイ、韓国、そして日本と、世界各国に店舗を展開する人気レストランを手がけるのは、世界で最も有名なレストランター、ビル・グレンジャー氏。2017年9月、福岡出店から一周年を経たタイミングでビル氏が来福するという情報を耳にし、早速コンタクト。ビル・グレンジャー氏が目指すレストランのカタチや成功の秘訣、今後の目標や夢、日本はもちろん福岡に対してどんな思いを抱いているか聞いてみた。
店を作り上げるプロセスが最高に楽しい

ビル氏とはもちろん初対面。とても気さくな方だということはTVなどメディアを通してなんとなく感じていたが、世界中にファンを持つ『bills』を手がけたレストランターという実績と、僕自身、ビル氏のファンであることから、やや緊張気味でインタビュー場所である『bills 福岡』に向かったのは言うまでもない。ただ、本人を目の前にした瞬間、その緊張はどこかに消えた。“柔らかい”。それがビル氏の第一印象。言葉を選ばずに言うと、自然体で普通、ナチュラル、飾らない人。世界中のセレブリティを魅了するレストランを手がけてきた人には良い意味で見えない(ここからは親しみを込めて“ビルさん”と呼ばせてもらいます)。
ビルさんは元々、芸術を専攻していたというのは有名な話。どんなきっかけでレストランターの道を歩み始めたのか。「幼少期からずっと自分を表現したいという願望がありました。自分を表現するなら芸術という考えからアートスクールに通いましたが、自分の性格上、孤独に作品に没頭することは性に合っていなくて(笑)。それよりも偶然アルバイトで入ったレストランで、一緒に働く仲間たちと、お店をより良いものにしていく方が楽しかったんです。お客さんと交流できる喜びも感じましたしね。今、レストランターをやっているのは当時感じた“自分の天職はこれだ”っていう直感を信じただけ」とビルさん。実際にレストランターとして活動しているなかで、一番おもしろいことを聞いてみると、「“どんな店にしていこう?”って、建築家やデザイナーをはじめ、その店で働いてくれるスタッフたちと話し合うこと。このプロセスが一番の楽しみ」と笑う。この言葉にさらにファンになった僕。自分がやりたいようにできる環境は整っているはずなのに、あえてそれをせず、信頼できるチームの仲間たちと一緒に店作りに取り組むことを楽しみとして捉えている。日本でよく耳にする“ワンマン社長”なんて言葉はまったく当てはまらない(そういえば、ビルさんの経歴に実業家、代表取締役といった肩書きは一切ない)。

自宅に友人を迎えるような気持ちで

ビルさんは僕らが思っている“トップ”とは違う。じゃあ、ビルさんってなにをしているの?そんな疑問が生じるのも当然だが、やはりそこは世界的レストランター。店を開く場所や、メニュー構成には独自のセンスが光る。日本1号店は湘南の七里ヶ浜。往来する人の数だけで言うと、同じ関東圏なら間違いなく東京都心の新宿や原宿などの方が上だろう。なぜ日本1号店が七里ヶ浜だったのか。「19歳のとき、日本に半年ぐらい滞在していたので、ある程度、日本のことは分かっていたつもりだったんです。ただ、約10年ぶりに来日して、改めて素晴らしい場所が日本にはある、と感じたのが七里ヶ浜でした。この場所に吹く風を体感して、オーストラリアにある自分の家を思い出しました。それが七里ヶ浜に日本1号店を開いた理由です」とビルさん。店をオープンする際は、1日でどのくらいの人が訪れ、どんな客層が見込めるかといったシミュレーションをするのがセオリーだが、ビルさんは少し違う。自身が感じたフィーリングを信じて日本初の店舗を開いたという。その経緯から感覚値でしかないと思われても仕方ないが、バックボーンにあるのは、自分が人のためにできる精一杯のこと。「僕は世界的に活躍するシェフの方々のように特別な修業をしてきたわけじゃない。僕にできるのは自宅に友人を招いたときに少しでも非日常の一時を感じられるような料理を出してみたり、現実を忘れられるようなリラックスできる空間を作り上げること。『bills』でやっているのは、それの延長線」と教えてくれた。“自宅でゲストをもてなす”、そんなシンプルな思考から生まれた『bills』。ただ一つ違うのは料理の味わい、テクスチャー、ちょうど良い贅沢感のインテリアなど随所に入れ込むちょっとしたサプライズだ。これこそが「また来たい」と思わせる要因なのだろう。

その日、その時できる最善を尽くす

関東に続き、昨年7月にオープンさせた『bills 福岡』。名古屋、大阪、神戸など、関西圏にも魅力的な街があるなか、なぜ西日本初の出店地として福岡が選ばれたのか。「福岡は日本国内でも本当に暮らしやすい場所だと思ったのが一番の理由。規模は東京に比べれば小さいけど、大都市らしい楽しみもあるし、昔ながらの町並みとか、おもしろさもいっぱいある。なにより自然がたくさん残っているのがいい」とうれしいお言葉。そうなんです!自分が暮らしている街を持ち上げるわけではないが、さらに付け加えると福岡は美味しい店も多い。裏を返せば飲食店激戦区でもある。そんな場所に店を開くことに抵抗はなかったのか、と問うと答えは即座に「NO」。「ほかのお店がなにをやっていて、話題になっている、とか、そういうことを気にしたことは一切ない。今、僕らができる最善をお客さまに対してできているか、僕自身それを一番に考えているし、スタッフにも共有しています。僕は大きな目標を立てて生きるタイプじゃない。その日、その時の最善を尽くす。もっと良くするということだけを考えてやっているので、“大成功した”なんて感覚は一切ない。とにかく毎日、真面目に自身ができる最善を尽くすだけです」と笑顔のビルさん。ますますファンになってしまった!

「その日、その時に自分ができるベストを尽くす」というビルさんの印象的な言葉。レストランターという肩書きで活躍しているものの、その考え方はどこか日本の職人さんのようだと感じるのは僕だけだろうか。そのシンプルな思考が『bills』を世界中の人々を魅了する特別なレストランに成長させた理由の一つだとすれば、僕らの日常にもこの姿勢は非常に有益なはずだ。最後に、今回の来福を機に八女抹茶が『bills』のメニューに仲間入りしたことにも触れたい。2008年に日本に初出店後、「抹茶を使うメニューを考えたら、日本の方々は喜んでくれないかな?」と前々から抹茶に興味を持っていたビルさん。今回、八女が日本茶の名産地で、世界を舞台にブランディングに力を入れているという話しを耳にし、「福岡の店舗限定で導入してもいいね」という気持ちで八女抹茶のラテを試飲。結果、その場で「おいしい!日本の全店舗で提供しよう」と相成ったそ

BOND 編集部

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