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髙橋 正巳 インタビュー INTERVIEW

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共助の仕組みを作ることでそこに新しい価値が生まれる

 「Uber」。そのシステムやサービスを1日でも早く日本に浸透させてほしいと熱望している人もいるだろうし、名前は聞いたことあるけど…、程度の人もいると思う。「Uber」とは人と物の移動を革新的なテクノロジーでサポートするアメリカ発の企業で、現在、全世界70ヶ国、400都市以上で活用されている注目のプラットフォームビジネスだ。そんな、世界的に注目される企業の日本法人執行役員社長を務める髙橋正巳さんに、「Uber」の軸となる“シェアリング・エコノミー”のメリットや活用法、日本国内での課題、改善点について語ってもらった。

ユーザーがドライバーを評価できる移動手段

——ままず、簡潔にいうと「Uber」とは?

髙橋正巳(以下、髙橋) 既存にはない新しい移動手段の選択肢とお考えください。依頼があったそのときに、目的地まで送り届けることができる人と、送って欲しい人を結びつけるのが私たちの仕事。人に限らず、物を扱うこともありますが、“運ぶこと”が私たちの技術ではなく、リアルタイムで需要と供給をマッチングさせられるのが「Uber」の強みであり、担う役割です。

——大まかにいうと、タクシーの配車センターみたいな存在?

髙橋 最先端のテクノロジーで人や物の移動を安全かつ正確にサポートするプラットフォームが「Uber」です。「Uber」を利用すればドライバーがどんな人か、仕事のクオリティはどうか、といった点を把握して乗車依頼ができます。現在、日本のほとんどの地域では、利用したいタイミングに偶然現れたタクシーを止めて、乗車しているケースが多いと思います。そうなると、もちろんドライバーさんがどんな人で、土地勘があるのか、運転技術が高いのかも分かりませんよね。「Uber」の場合、登録しているドライバーを評価する仕組みを確立させているので、乗車する前にどんな人・車種が来るか分かるようになっています。ですから、ある程度自分が「乗りたい」と思う人とのマッチングが可能なんです。また、リアルタイムで自分が今いる場所をスマートフォン上で確認できるし、乗車履歴がしっかり残るので、利用後にもし不審な点を感じた場合でも、事実確認が明確にできる。こういったセーフティネットを整えているからこそ安心して使えるのです。さらに、「Uber」では“Trust&Safety(信頼と安全)”に特化した部署を設けており、そこには女性の社員が多いんです。リアルに女性の視点で安全なのか、信頼できるのかを日々検証することで安全・安心なモビリティであり続けられるよう常に向上しています。そういったシステムの上で高評価を得ているドライバーを選べば、その不信感を乗車前から消し去ることができるのも「Uber」の魅力の一つだと思っています。

——確かに!ドライバーを評価した上で依頼できるなら、さまざまな問題がクリアになりそうですね。現在、日本国内で「Uber」のシステムを活用した配車サービスを始めているエリアはあるのでしょうか?

髙橋 東京ではUberBLACKというハイヤーの配車サービスを行っています。それ以外、地方でシステムをご利用いただいているのは京都府の京丹後市丹後町と北海道の中頓別町の2エリア。これらの町はともに高齢化が進む、いわゆる過疎地で、自治体から問合せもあり、「Uber」の配車サービスを活用いただいています。とくに丹後町はタクシー会社が8年前に撤退した上、バスは1日に数本しかないなど、移動手段の選択肢が非常に乏しかった。今すぐに病院に行きたい、買い物に行きたいといった需要に応えられていなかったので、地域住民の外に出る意欲が低下していたんです。人が家から出ることで、消費が生まれて、その地域の経済、社会が活性化すると考えると、そこに暮らす人々、とくに高齢者の移動手段を確保する必要があった。丹後町の場合、二種免許者にや大臣認定講習を受けたドライバーに限るなどの法的要件を満たした上で認可を受けています。

——高齢化が進む日本ならではの活用法ですね。ただ、高齢者の方々にスマートフォンのアプリを使いこなすことができるものでしょうか?

髙橋 おっしゃる通り、今までスマートフォンやパソコンを触ったことがない高齢者の方にとって「Uber」の配車サービスを利用するのはハードルが高い。ただ、丹後町の場合、代理人配車制度を導入するなど、利用方法が分からない人に代わって配車を依頼できるサービスも始めていますし、中頓別町では自治体に代行する担当者を常駐させている。極端な話、北海道で「Uber」を利用したいけど、ツールをお持ちでない方がいたとして、東京に住んでいるお子さんなどに配車の手続きをお願いするのも可能なんです。

「Uber」なら需要と供給のバランスが自然と保たれる

——2015年2月に、日本では初めての試みとなった検証プログラム「みんなのUber」を、福岡市で実施されましたよね。なぜ、福岡市を検証の場所に選ばれたのでしょうか?また、実際に検証を行ってみて、手応えはいかがだったでしょうか?

髙橋 本検証を行った趣旨はシェアリングという概念が日本で受け入れられるのか、という点を把握することでした。それを考えたときに、若い世代が多く、成長し続ける福岡市は、新しい検証プログラムに最適な都市であると感じました。イノベーションを促進し、起業家育成に力を入れている福岡市や髙島市長のビジョンに共感しているのも理由の一つですね。実際に検証プログラムを実施したのは1ヶ月程度でしたが、産学連携機構九州とパートナーシップを組んだことで、より有益な分析ができましたし、一番の目的だった福岡市で暮らす人々の交通ニーズについていくつか仮説を立てられました。さらに、配車サービスをご利用いただいた方に5段階で採点してもらったのですが、平均4.8という高い評価をいただいた上に、ご協力いただいたドライバーの方たちからも「楽しかった」というコメントが多く聞かれました。これらの結果は日本国内で「Uber」を浸透させていくのが存在意義である私たちとしては非常に勇気づけられましたね。具体的にこんな点が良かった、便利だったという、リアルな声を聞くにつれ、まだまだ日本でやるべきことがたくさんあると再確認できたのも良かったと思います。

——検証を経て、実用化に至るまでには自家用車タクシー禁止を定めた法律や利権関係の壁をクリアする必要もあるかと思いますが、そのあたりはどうお考えでしょう?

髙橋 社会はどんどん進化する必要があります。例えば、戦後すぐと現在を比べると、テクノロジーの発達に伴い、考え方や法律を整備する上での前提がまったく違いますよね。だれの目から見ても、絶対にあった方が便利で、暮らしやすさに直結するものは取り入れていくべきだし、今までもそうやって日本の社会・経済は発展を続けてきたと思うんです。なんのビジネスにも当てはまることですが、ストック型とフロー型の2つのビジネスタイプがあり、旧来の交通機関はストック型に当てはまります。利益を上げるほどの需要がないのに、車や人材を所有し続けなければならない。結果、それを継続できずにその町から撤退を余儀なくされる。これだと、会社にとってもそこに暮らす人々にとってもマイナスでしかない。一方、「Uber」のようなフロー型のビジネスだと、需要と供給のバランスが自然と保たれるというメリットがあります。人口が減少している現在の日本を考えると、地域の人々が支え合って暮らしていく必要がある。共助の仕組みを作ることができれば、そこに新しい価値が生まれると思っています。

[ たかはし・まさみ ]

1981年生まれ。東京都出身。幼少期よりアメリカやヨーロッパでの生活が長く、シカゴ大学を卒業。2003年にソニーに入社し、フランスのINSEADにてMBAも取得。3.11の東日本大震災を機に、日本のためになにかできないかと、ビジネスを通しての社会貢献を考え始める。2014年7月にUberに入社、日本法人の執行役員社長に就任。“今の日本には不安感はあるけれど、危機感がない”と話し、「Uber」のサービスを活用して、高齢化社会にも独自の視点で取り組む。また、2020年の東京オリンピックを大きなマイルストーンと考え、4年後には「Uber」が日本になくてはならない移動手段となることを目指している。

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